志手一哉|芝浦工業大学 教授/建築情報学会 副会長

建築情報学の論文とは

2022年12月より、建築情報学会の副会長を務めることになりました。建築情報学会では学術情報委員会を担当しており、そこでは査読付き論文のジャーナル『建築情報学会論文誌(Journal of Architectural Informatics Society)』を発行しています。建築情報学会論文誌は、J-Stageで発行するオープンアクセスのオンラインジャーナルで、誰でも購読できます。

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2021年10月1日の創刊から、これまでに2本の論文が掲載されました。

しかし、もっとジャンジャン投稿してほしいのです。

建築情報学会の論文投稿のページには「建築情報学の趣旨を十分理解した内容で上または応用上価値のあるもの」が対象とあります。また、投稿規定には「情報技術・理論と建築・都市の関係に関する知の共有と体系化に資するものとする」との記載もあります。

しかし、「建築情報学」だからと言って特定のジャンルがあるわけではありません。むしろ建築と情報の垣根のない、ジャンルレスのジャーナルだと考えていただければと思います。

BIM、メタバース、コンピュテーショナルデザイン、デジタルアーカイブ、スマートシティなど建築学のジャーナルで投稿しづらいテーマ、建築領域で説明しやすい人工知能やシミュレーションなどの研究などは、建築情報学会論文誌の大好物です。理工学的な研究に限らず、社会学や社会科学的な切り口も建築情報学会論文誌の対象です。あまり難しく考えずに、建築分野からのIT、IT分野からの建築がテーマの学術論文であれば、気軽に投稿してください。

査読について

ただし、査読付きの学術論文なので、投稿すればなんでも掲載されるわけではありません。

査読の評価項目は下記の通りです。

論文集『Journal of Architectural Informatics Society』査読規程

a)建築情報学の趣旨を十分理解した内容であること。

b)論旨の妥当性:論旨の整合性がとれており,論理の飛躍等がないこと。

c)実験・調査の方法の妥当性:目的に対して適切であること。また倫理にかなっていること

d)既往関連研究との対応:既往の関連研究に対する位置づけを明らかにしていること。

e)表現の適切さ:論文の主旨を十分に要約していること。

f)用語・説明の適切さ:当該分野で妥当な用語を正確に用いているか,定義が十分になされていること。また,図・表等は内容を適切に表現しており説明文との不必要な重複のないこと。